ウイルス性イボ(尋常性疣贅)
ウイルス性イボ(尋常性疣贅)とは?
顔や手足など身体のさまざまな部分にイボは生じることがあり、医学名ではイボを「疣贅」と呼びます。
皮膚が盛り上がった状態になったものがイボだという認識があると思いますが、イボにはいくつかの種類があります。
一般的なイボとして知られているものがウイルス性イボ(尋常性疣贅)であり、手指や足の裏側に生じることが多いです。
名前の通りウイルス性なので、ウイルス感染により発症します。
ウオノメやタコに似ているため、自己判断で市販薬を誤って使用してしまうケースも少なくありません。
原因
ウイルス性イボは、HPV(ヒトパピローマウイルス)というウイルスに感染することで発症します。
HPVには約100種類もの型があり、子宮頸がんを引き起こす型や、性感染症の尖圭コンジローマを発症する型などさまざまなものがありますが、ウイルス性イボを発症する型と主にHPV2型という型です。
皮膚表面の小さな傷からウイルスが侵入して体内で繁殖することでイボが発症します。
プールや銭湯など素足で多くの人がマットなどを共有するような場面や、スリッパの共有なども感染する可能性があります。
また、イボが生じている部分を自身で触れてしまい、そこから手指などに感染が拡大するようなこともあります。
症状
足の裏や指、手の指や手のひらに、皮膚の一部が盛り上がったしこり状のものが生じます。
数ミリ~1㎝ほどの小さな盛り上がりで、1箇所だけに生じることもあれば数か所に発症することもあります。
痛みやかゆみなどの症状はほとんどなく、自覚症状がないケースも珍しくありません。
足の裏にできた場合には皮膚が盛り上がらずに、ザラザラとして硬くなることが多いです。
放っておくと他の場所に感染が拡大してしまう可能性があることや、自己判断で市販薬を用いることで症状が悪化することもあるので、イボを見つけた場合には早期に皮膚科を受診するようにしましょう。
検査
ウイルス性イボでは、問診と視診で症状を確認します。
特別な検査は行わず、皮膚症状から診断します。
足の裏にできるイボはウオノメやタコと勘違いされることも多いですが、自己判断で市販薬を使用すると症状が悪化するような場合があります。
また、ご自身でイボの部分を削り症状の悪化や感染拡大することもあるので、早めに皮膚科に相談するようにしてください。
治療
ウイルス性イボの場合、液体窒素を用いた冷凍凝固法で治療を行います。
マイナス196℃の液体窒素を浸した綿棒をイボの部分に数秒当て、イボを凍結させる方法です。
この治療法ではウイルスに感染しているイボが皮膚ごと壊死して剥がれ落ち、新しい皮膚が再生されます。
ただし、一度の治療ではウイルスを破壊することが出来ないため、複数回の治療が必要になります。
治療を繰り返している内に感染部分の免疫が高まり、正常な皮膚に変わっていきます。
1~2週間に1度のペースで継続して治療を行う必要があり、医師の指示に従って通院してください。
自己判断で治療を止めてしまうと、再発や感染拡大してしまう可能性があります。
注意点
イボができている場合には、手で触ることや自身で取ってしまうことは避けましょう。
足の裏にイボが生じている場合には、家庭内でタオルやマットを共有することを避けるようにし、家庭内感染を防ぎます。
冷凍凝固法での治療を行うと、血豆や水ぶくれが生じることがあります。
足の裏の場合は歩くことで痛みが生じる場合もあるので、治療の翌日に長時間歩くようなことがある際には事前に医師にお伝えください。