とびひ

とびひについて

とびひとは、伝染性膿痂疹という皮膚の疾患で、梅雨時期から夏にかけて多く発症する症状です。すり傷や虫刺され、湿疹、あせもなどを掻き壊したような皮膚の浅い部分にできた傷などに、黄色ブドウ球菌などの細菌が感染することで、水ぶくれ、膿疱という膿が入った水ぶくれ、かさぶたができる病気です。

とびひの正式名称は伝染性膿痂疹(でんせんせいのうかしん)と言い、ブドウ球菌や溶血性連鎖球菌(溶連菌ともいいます)が原因菌となり、原因菌と接触することで皮膚に感染する病気です。

乳幼児に発症することが多い病気ですが、乳幼児のお子さんと触れ合う機会のある大人やアトピー性皮膚炎に罹患している大人も発症する可能性のある疾患です。

とびひの症状

水ぶくれや膿疱はすぐに破れ、中の菌が広がり、新たに水ぶくれや膿疱を作ります。とびひは重症化すると、高熱や皮膚が腫れるブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群や、血尿、むくみなどがみられる小児腎炎などを発症します。
とびひには、水ぶくれができ、それが破れる「水疱性膿痂疹(すいほうせいのうかしん)」と、水ぶくれや膿疱ができた後、厚いかさぶたになる「痂皮性膿痂疹(かひせいのうかしん)」があり、とびひの多くは水疱性膿痂疹です。
水疱性膿痂疹の多くは、乳幼児に多く、汗をかきやすく、高温多湿で細菌が繁殖しやすい夏場に発症します。痂皮性膿痂疹は季節や年齢に関係なく発症し、大人に多くみられます。

 

とびひの原因

とびひの原因は、黄色ブドウ球菌と溶血性連鎖球菌という細菌で、黄色ブドウ球菌に感染すると水疱性膿痂疹に、溶血性連鎖球菌に感染すると痂皮性膿痂疹になることが多く、とびひの9割以上は黄色ブドウ球菌が原因です。
黄色ブドウ球菌は、喉や皮膚、環境の中のどこにでもある常在菌で、健康な肌の場合は問題ありません。アトピーなどが原因で免疫力が落ちている肌に入り込むことで、水ぶくれや膿疱を作ります。
水ぶくれや膿疱の液には菌や毒素が入っているため、患部を掻いた手で他の皮膚を触ることで全身に広がります。また、伝染力が強いため、とびひ患者とのタオルの共用、プールなどで他者への感染が広がります。

とびひの治療法

とびひの治療には一般的に抗生物質と、かゆみ止めの飲み薬と塗り薬が用いられます。
内側と外側の両方から殺菌していきます。
ステロイドはかぶれなどの疾患には非常に有効に作用しますが、とびひなど菌が原因でおこる場合は必ずしも万能の薬ではありません。

そして重要なのは治療の期間です。
症状が良くなったとご自身で判断し、治療を途中でやめてしまわれる方が多く、とびひが再発してクリニックにいらっしゃる患者さんが多いのが現状です。
指示された期間は、きちんと飲み薬と塗り薬を使用してください。
それともうひとつ、ご自宅で必ず行ってほしいことが、患部を清潔に保つということです。
傷口が痛そうだからといって、石けんを使わないばかりか、ガーゼでふさいだまま入浴時濡らさないという方がいらっしゃいますが、これではなかなかとびひは治りません。
とびひ治療の開始当初は、なるべく湯船(バスタブ)に入るのは避けて、シャワーを使い石けん(薬用などではなく、普段お使いのボディーソープでかまいません)の泡でやさしく洗い患部を清潔にしておくことで、より治療を効果的に行うことができます。

とびひの注意点

とびひは適切な治療を受ければ完治する病気ですが、症状が重症化すると合併症を引き起こす可能性があります。1つ目は原因菌である黄色ブドウ球菌が血液中に入ってしまうことで皮膚が火傷のように剥がれてしまうSSSS(ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群)です。

かつては生命の危険のある病気でしたが、早期に発見して治療をすれば近年では命を落とすまでには至らない病気です。2つ目は原因菌である溶連菌が腎臓に影響を及ぼして腎障害に発展するというものです。こちらも発症頻度は稀ですが、溶連菌が原因菌と診断された場合には症状が消失しても腎臓の検査を受けておくと良いでしょう。

とびひの予防方法

とびひとなる原因として、あせもや湿疹、虫刺されなどを搔きむしり、傷を作ってしまうとその傷に原因菌が入り込み、その傷を触った手で別の場所を触ることで次々と感染していきます。特に新宿、西新宿は公園が多いため虫刺されを掻きむしった結果、とびひとなってしまい皮膚科を受診する方が多いです。

第一の予防方法としては傷口を触らない、掻きむしるなどの行為で傷を作らないということになります。また、全身の皮膚を清潔に保つようにし、とびひの部分も毎日たっぷりと泡立てた石鹸で優しく洗うようにしましょう。さらにとびひは弱っている皮膚ほど感染しやすい病気です。そのため、第二の予防方法としては日ごろから保湿をして皮膚のバリアを強くしておくことが必要です。

他にも手洗いをしっかりと行ったり、万が一皮膚をひっかいてしまっても深い傷を作らないように爪を短く整えておくという予防方法があります。

とびひの種類

とびひの種類には、大きく分けて2つあります。

1つ目は水疱性膿痂疹といい、水膨れ(水疱)ができ、皮がめくれる(びらん)状態となることで、2つ目は痂疲性膿痂疹といい、水膨れはできない(非水疱性)ものの厚いかさぶた(痂疲)ができます。水疱性膿痂疹は乳幼児に多くみられ、最近も繁殖しやすい上に汗をかきやすく、虫も多く出てくる夏場によく見られます。

一方、痂疲性膿痂疹は比較的大人に多くみられます。特に近年ではアトピー性皮膚炎を持っている人がこの痂疲性膿痂疹にかかってしまうという事例が増えています。

とびひの治療薬

とびひの治療には抗菌薬が用いられます。早期に発見されたとびひや症状が軽いとびひに対してはフシジン酸ナトリウム、テトラサイクリン系またはニューキノロン系という種類の塗り薬を使用します。しかし、多くの場合には塗り薬と抗菌薬の内服薬を併用することが多いです。

薬を塗布した後、患部がじゅくじゅくとしていれば上からガーゼや包帯で覆って密閉します。早ければ皮膚は4日ほどで患部が乾燥してきますが、飲み薬は1~2週間ほどの継続が必要です。症状が重症である場合には病院で点滴をして抗菌薬の与薬を行います。

とびひの検査

とびひの検査では、まずとびひを起こしている原因細菌を調べる必要があります。そのため、傷口から細菌を採取して培養をしたり、顕微鏡で観察して原因菌を割り出す検査をします。この検査はじゅくじゅくと膿んでいる部分や水疱の部分から行われることが多い検査です。

また、可能であれば採血で薬の感受性を検査を行い、治療で使う抗菌薬が効くかどうかを調べます。原因菌が溶連菌であった場合や、重症例では採血を行い身体の炎症反応や腎臓の状態を調べます。腎臓の状態に関しては尿検査も一緒に行います。


とびひの保険診療

新宿(西新宿)にある当院皮膚科ではとびひの診療を保険診療内で行っています。そのため、ご来院される際には必ず健康保険証をご持参下さるようにお願い申し上げます。

とびひの治療費用

当院は新宿、西新宿を中心とした幅広い地域の方にご来院頂いております。当院皮膚科は、必要性のない無駄な検査や薬などの使用はせず良質な医療の提供をモットーにしておりますので、患者様の治療費の負担をより軽くするように心がけております。当院は長年患者様から愛され続け、信用をいただいている病院となります。とびひでお困りの患者様はぜひ一度当院にお越しいただきますよう何卒お願い申し上げます。

とびひの歴史

とびひは火災の際に他の家へ飛び火するように次から次へといろいろな部位に症状が現れるため、この俗称が付けられたといわれています

。とびひは1998年に施行された学校安全法という法律で学校感染症、第三種として扱われます。そのため場合によっては感染を拡大させないという目的のために幼稚園や学校を出席停止となる可能性もあります。