肺炎
原因
肺炎は呼吸器感染症です。
風邪やインフルエンザで喉に炎症が起きると、健康な状態に比べて細菌やウイルスに感染し、肺炎になってしまう確率が非常に高くなります。
次の症状が出た場合は、呼吸器科を受診しましょう。
症状
- 長引く咳
- 痰
- 発熱
- 胸痛 (炎症の箇所による)
- 呼吸困難 (重症の場合のみ)
- 意識障害 (重症の場合のみ)
肺炎の中でも「マイコプラズマ感染症」の場合は、肺炎であっても痰が出ずに空咳(からぜき)だけが続く、発熱を伴わないこともあります。
特に高齢の方は自覚症状が乏しいこともありますので、食欲不振や何となく元気がない場合でも肺炎が原因のことがあります。
肺炎の種類
肺炎には様々な種類があり、原因となる病原体別に分類されます。
■ 細菌性肺炎
通常、「肺炎」と呼ぶもののほとんどは、この細菌性肺炎です。
肺炎球菌、インフルエンザ桿菌(かんきん)、クレブシエラ、モラクセラ・カタラーリスなどの細菌が原因で起こります。
■ ウイルス性肺炎
インフルエンザウイルス、麻疹ウイルス、水痘ウイルスなどが原因で起こります。
■ マイコプラズマ肺炎
マイコプラズマという病原体による肺炎。抗生物質の代表であるペニシリンは効きません。
特に小学生を中心とした若年者に多く、空咳が主症状。
血液検査で白血球が上昇しない(しにくい)ことも特徴とされます。
通常の喀痰検査ではマイコプラズマを直接確認することはできず、治癒してから病原体が特定されることも多いです。
■ レジオネラ肺炎
高齢者の集団感染で問題になることが多い肺炎。
温泉や循環式風呂などで汚染された水に繁殖したレジオネラが感染し、重症肺炎として発見されることもしばしばです。
マイコプラズマと同様に、ペニシリンは効きません。
治療法
一般的な肺炎の治療は薬で行います。
肺炎に使われる抗菌薬は、原因と推定される病原菌にあわせて使い分けますが、ペニシリン系やセフェム系など種類が様々ですので、主治医の説明を聞いた上で正しく使用してください。
一般的な肺炎の場合はこれらの薬剤を内服や点滴することで、病原体の繁殖を抑えて治療します。
治療を行う際は、入院して安静を保つことが原則です。
長期入院が必要というイメージを持たれている方も少なくありませんが、全身状態が良好で軽症な肺炎の場合は入院せず、内服と外来で行う点滴のみ治療することもあります。
肺炎と診断されて正しい治療を行っても異常な影が消えない場合は、肺炎に隠れて肺がんや肺結核が潜んでいるケースもあり、その場合はさらに細かな検査を行います。
肺炎の診断法
上記の症状についての問診と併せて、胸部のレントゲンと血液検査を行います。
ほとんどの場合、レントゲン写真で肺に異常な影があり、血液検査で炎症を示す所見や症状が出た場合には肺炎と診断されます。
しかし、上記の検査だけではっきり確定診断ができなかった場合、痰を調べる喀痰(かくたん)検査や胸部のCT検査、血中の酸素状態を調べる検査を行ったりします。
肺炎の原因となる病原体によっては、尿検査を行うことがあります。
インフルエンザや麻疹・水疱瘡(みずぼうそう)などのウイルスが原因で起こる肺炎の場合は、より特殊な血液検査を行うこともあり、症状ごとに検査方法は異なります。