イボ
概要
いぼとは皮膚から小さく盛り上がっているできものを指す俗語で、正式名称を疣贅(ゆうぜい)と言います。
疣贅とは、皮膚の小さな傷や皮膚バリアの弱っている皮膚からウイルス(ヒトパピローマウイルス:HPV)が入り込むことによっていぼを発症するウィルス性疣贅が一般的にいぼと呼ばれるものとなります。
そして、ヒトパピローマウィルスにはそれぞれ型があり、大別して皮膚型と粘膜・性器型に分けられます。また感染した型によって尋常性疣贅、扁平疣贅などの病名がつき、尋常性疣贅は、皮膚型のウイルスが皮膚に感染して、良性腫瘍の「いぼ」ができる病気です。
歴史
いぼは古くからある疾患で、飯粒(いひぼ)が転じていぼというように呼ばれるようになったと言われています。
古来からある疾患であるため、昔はいぼを治すために神頼みをする人も多くいるということで知られていました。
いぼはウイルスの感染によりできることから抵抗力をつければいぼにかかりにくくなったり、またいぼが治りやすくなるのではないかと考えられていました。
今でも地蔵に撒いた塩を自分のいぼに塗るといぼが治るという言い伝えを持ついぼ取り地蔵というものや、お参りをすればいぼが治るという言い伝えを持ついぼ観音様が祀られている地域もあり、実際にお祈りをしたことでいぼが治ったという声も聞かれているようです。
原因
外傷を受けやすい露出部、とくに手指、足底、膝、顔面に現れます。ささくれなど傷のある皮膚に感染し、数カ月後には光沢のある皮膚色の1mm大の半球状に隆起した発疹ができ、次第に大きくなって、表面が角化して粗く灰白色になります。
足の裏では、体重のために隆起できず、魚の目状または多発して敷石状になります。顔面や首では、先端がとがった細長い突起物になることがあります。
いぼの感染経路
いぼの原因となるウイルスはとにかく種類が多く、一定の環境を特定できないというケースが多いのです(ウイルスの好む温度・湿度などの要素はあります) 加えて、いぼの原因となるウイルスの中には他者から感染したものだけでなく、元から自分の体内に存在していたウイルスが、本人の免疫力が低下したタイミングで活発になるというケースもあります。
そのため、「この季節に、この場所に近づく際に注意すれば感染を防げる」ということを徹底することは、まず不可能なのです。
ウイルスの感染経路の特定
お子さんが「水いぼ」を患ってしまった場合は、学校や夏休みのプールに行ったことが原因であることが多く、特に学校の場合は同じクラスの生徒同士で集団感染するようなケースなどでは、ある程度感染経路がはっきりとしますが、ほとんどのケースがどこで、誰から、何を媒介として感染したかということは特定することが難しいです。
症状
主に手足の指や足底に、はじめは平らな小さい丘疹きゅうしんが生じ、徐々に表面がザラザラして灰白色のドーム状の盛り上がりになります。足底では扁平なことも多く、タコやうおのめと間違われることもあります。いぼの表面を削けずると点状の出血が見られることも特徴です。
治療法
いぼの治療には現段階においても特効薬や特効的治療がありません。そのため、出来てしまったいぼを取り除いていくというのが治療となります。いぼの治療薬は様々な方法と薬品を使用します。
まず第一選択に用いられるのは液体窒素という薬品に綿棒をつけていぼを冷却する冷凍凝固療法です。一般的には、6〜7回、凍結と融解(ゆうかい)を繰り返す凍結療法を行いますが、痛いことと治癒率の低いことが欠点です。とくに、角質の厚い爪のまわりや足底では治りにくく、この場合はブレオマイシンの局所注射を行いますが、これもかなりの痛みを伴います。
次に用いられるのがグルタルアルデヒドの外用薬をいぼに塗布したり、ヨクイニンという漢方を内服する方法です。電気焼灼(しょうしゃく)や炭酸ガスレーザーで蒸散させることもありますが、瘢痕(はんこん)(傷あと)を残すことがありますし、凍結療法と組み合わせるとよい結果が得られますが、冷凍凝固療法は痛みを伴う治療法であるため小さなお子さんでは治療を嫌がってしまうこともあります。いずれにしても1度の治療で完治することが少なく、治療期間が長く必要となります。
「親いぼ」と「子いぼ」
一般的に言われているものに「親いぼ」と「子いぼ」と言うものがあります。
これは、子いぼをいくら治療しても、それを生み出す親いぼが残っている限り、いくらでも子いぼが再発してしまうというものです。
その信憑性は定かではないのですが、発症したいぼを刺激することでその内部に存在するウイルスが周囲の皮膚に拡散してしまうことは十分に考えられます。
「親いぼを治療すると、子いぼも自然に治る」「子いぼが無い内に親いぼを撃退すると最小限で済む」といったことが噂されていますが、医療知識の乏しい人が素人判断でいぼをいじっても無駄にウイルスが拡散してしまうだけです。 新宿・西新宿にお住まいの方やお勤めの方でいぼを発見した方は、ウイルス感染が拡大してしまう前に当院皮膚科を受診してください。
いぼの検査
いぼは診察で判断がつくという場合が多いため大掛かりな検査をすることが少ない疾患です。ほとんどの医師が目で見て診察しますがまれに、ダーモスコピーという拡大鏡を使用する場合もあります。
また足の裏の場合、では角質が厚くなりその下にいぼが埋もれて見にくくなっている場合もあります。 その場合は表面や周囲の角質をやすりで削り取ってから診察をすることもあります。
保険診療
新宿、西新宿にある当院皮膚科では、保険医療機関として多くの患者様に負担の少ない金額でご利用いただいております。患者様にご負担なく治療を受けて頂けるよう、ご来院いただく際には、必ず健康保険証をご持参くださるようお願いいたします。 いぼの治療もほとんどが保険診療内で受けて頂くことが可能となります。
費用
当院皮膚科は、新宿と西新宿を中心とした、幅広い地域の方たちの診療をさせていただいております。 必要性のない検査や薬などの使用はせず良質な医療の提供、患者様が安心して通いやすい医院作りをモットーに しておりますので、患者様の治療費の負担をより軽くするように心がけております。
また、いぼという病気はご家族内で蔓延しやすい疾患でもあります。ご家族皆さまで治療を受けやすい環境を整えておりますので、いぼの治療でお困りの際にはぜひ一度当院にご相談いただければと思います。
予防法
まず、家族の誰かがいぼを生じた場合は、タオルなど皮膚に直接触れる物品の共用を避けることが重要です。
どの部位にいぼが生じているかにもよりますが、マットなどについても注意する必要があります。
いぼは、皮膚へのウイルスの感染によってその症状を生じることになります。つまり、ウイルスが感染しても、症状を生じる前に撃退してしまえば良いだけの話なのです。いぼは、免疫力が低下したタイミングで発生しやすいため、体調管理をしっかりとして、皮膚の清潔さを維持できていれば、ウイルスが皮膚に感染しにくい傾向にはあります。
もちろん、それだけで確実に予防できるというわけでもありませんが、少なからずいぼの発症率を低下させることはできるのではないかと思います。また、いぼから皮膚へのウイルス感染である「二次感染」を防止する方法としては、やはり早期治療が重要になります。
新宿・西新宿の方でいぼを発見した場合は、二次感染や家族への感染を起こす前に当院皮膚科お気軽にご相談ください。
いぼの注意点
いぼを触った手で他の部位を触ったことによって感染が拡大していく疾患とされています。しかし通常は皮膚バリアがきちんと備わっている正常な皮膚に対しては感染しにくいとされています。ところが、手や足に小さな傷ができている場合や乾燥肌やアトピーなどで皮膚のバリア機能が弱っている場合では容易に感染するため注意が必要です。
特にお子様では新宿、西新宿に公園が多いという特性上、遊ばれている最中にけがをして傷を作ってしまい、そこからいぼに感染される方、夏になって暑くなると汗の刺激等で身体がかゆくなり、掻きむしって作ってしまった傷から感染する方など感染する経路は様々です。
当院皮膚科にいらっしゃる患者さんの多くはお子様がまずいぼに感染し、お母さんと手をつなぐことによってお母さんに感染するという経路で、親子で受診される方も多くいらっしゃいます。また、中にはご家族全員で受診されるという方もいらっしゃいます。
そのため、ご家族内で感染しないようご家族皆さまが保湿を十分に行い手足の皮膚バリア機能を修復、高めておくことが必要となります。
特に、アトピー性皮膚炎を持っている方は身体が痒くなると夜間就寝時などに無意識のうちにひっかいて傷を作ってしまい、そこからウイルスが侵入して感染してしまうという方もいるため、乾燥対策だけでなくアトピー性皮膚炎のかゆみに対しての対策にも注意をしておくと良いでしょう。