アトピー性皮膚炎
概要
かゆみを伴なう湿疹が、身体の様々な部位にできるアトピー性皮膚炎。
命にかかわる病気ではありませんが、慢性的な強いかゆみは、不眠を引き起こしたり、ストレスの原因になるなど、患者さんのQOL(生活の質)を著しく低下させるものです。
最近は、子どもだけでなく、大人にも増えている病気です。
アトピー性皮膚炎は、乳幼児期に発症することが多く、慢性的な経過をたどりますが、成長するにつれて治ってしまうことも多くあります。ただ、子ども時代にアトピー性皮膚炎を患っていた人が、大人になって再発するケースも増えているようです。アトピー性皮膚炎という言葉自体は新しいものとなりますが、意外にアトピー性皮膚炎という病気自体は古いのではないかと言われてもいます。
アトピー性皮膚炎と命名されたのは約100年前になり、日本では約60年前に普及されるほどの新しい言葉となりますが、それ以前にもアトピー性皮膚炎ではないか?と悩まされている患者は多く、文献を通して推測されるのものではローマの時代にもアトピー性皮膚炎の症状で悩まされてた人がいたのではないかという症状が多々あります。その後、医学士などの研究者達によりアトピー性皮膚炎の研究が進み、具体的な治療法や緩和法が発表され今に至ります。
まだまだ、不明な点は多いもの昨今では更に研究も進み未だに明らかになっていない原因も、ある程度は判明をしてきたという事もあり薬の改善や開発が進んでいるため多くの患者様に普及し始めています。他の特症状として最も多いのは強いかゆみで治まったと思ったら再発をするという患者様にとっては非常につらい病気となります。
徴として挙げられるものは強いかゆみを我慢が出来ずに爪などで強く掻き毟ったことによる傷、その傷から少しべたべたした体液が溢れ出るという事が挙げられます。
アトピー性皮膚炎の段階
乾燥
↓
乾燥による弱いかゆみ
↓
掻いてしまったことによるぼつぼつした湿疹が浮き出る
↓
湿疹による強いかゆみ
↓
強いかゆみに耐えれず掻きすぎたことにより湿疹が潰れ皮膚のただれから体液が溢れる
上記のような流れとなり良くなり始めたと思えば、同じ症状を繰り返すと非常に厄介な病気となっています。
これらを乳幼児期に繰り返していき成人後には症状がなくなっている人も多くいますが、過去にアトピー性皮膚炎を患った事がある方はアトピー素因(アレルギー物質に過敏に反応が出やすくアレルギーを起こしやすい体質)となるため、ストレスや不眠、疲れ等によってアトピー性皮膚炎の症状が出てしまうことがあります。
原因
多因子性の病気となれ、環境や食べ物、生活習慣の様々なものが複合されアトピー性皮膚炎の症状になるかゆみや皮膚のただれとなり繰り返すものとなります。これらの原因は乳幼児期と成人期では多少異なるため、現在アトピー性皮膚炎で悩まれている方は注意が必要です。
乳幼児期によるアトピー性皮膚炎の主な原因となるのは食べ物やハウスダスト、ダニといった環境要因や食べ物が主な原因となります。乳幼児期でも2~3歳の子どもに関しては食べ物が原因の多くを占めます。
その理由としては食べ物を食べた後に消化をする能力がまだまだ弱く未熟なため、食べ物に含まれるアレルギーに対してアレルギー反応が出やすくアトピー性皮膚炎を引き起こしやすくなります。
アレルギーになりやすい食べ物として例となるのが、卵や乳製品、子どもによっては大豆類や麦類にもアレルギーが出ることもあるため注意が必要です。ただ、成長につれて消化能力がも発達をしていくので食べ物によってのアレルギーが改善されたという事も多くあります。
食べ物に対してのアレルギー反応がない子どもは環境要因となるハウスダストやダニ、カビといったものが原因となっている可能性が高くなってきます。昨今、ピティロスポロムという菌に対してアレルギー反応が出る人が増えてきているという報告もあります。
ピティロスポロムという菌はカビの一種となり人間の皮膚にもいるもので顔を含めて上半身に存在しかゆみの原因になりやすいものです。環境要因の場合には非常に日々のケアが大変ですが、空気清浄器などを使用したりシーツなどの身体に触れるものはなるべく毎日取り換えるなどをして清潔を保つことで緩和されることもあります。
成人後には主な原因として疲労感や悩み、ストレス等によりアレルギー反応が引き起こりアトピー性皮膚炎の症状が出ることがあります。女性の場合だと化粧品などの刺激物なり湿疹が出たりすることでかゆみを引き起こすことがあります。それらは原因となるものが改善されたことで治ったり治まる事もあります。
4月などの生活や環境が変化しやすい時期には特にアトピー素因を持っている人が症状が出たりすることがありますが環境に対して慣れてきた頃には症状がなくなり治まります。
アトピーの症状
アトピーの症状は蕁麻疹のような湿疹とは違って、皮膚表面が乾燥やカサツキを帯びていることが多くの患者様にみられます。
新宿の当院皮膚科にも多くの患者様が受診されますが、多くは小児から症状がみられますが、大人になってから突然症状が現れるといったケースもあります。
症状が現れやすい部位は肘や膝関節で特に内側部分です。
顔や衣服などが刺激となる首などにも見られます。
初期にはカサカサ感があるだけという軽症ですが、痒みが強いため掻くことによって症状が悪化していきます。
赤みが出て、白く粉を吹いた状態などもみられ、皮膚表面がささくれ立つようになります。それ以上悪化していくと、その部分から浸出液が出たり、膨隆し赤みが深まります。
中には鮮明な赤になり、ごわごわした分厚い皮膚が浮き彫り状になります。
掻くことで皮膚が変化、その変化が痒みを増強するといった悪循環が起こります。
治療法
アトピー性皮膚炎の根治は難しく、対症療法が中心となります。
治療を地道に取り組むことで、症状を軽減させることは充分可能です。
疹の改善
かゆみの元となる湿疹を改善するために、軟膏などの外用薬を患部に塗布する治療が行われます。
用いられる薬は、ステロイド外用薬や非ステロイド系外用薬などです。
また免疫抑制薬の含まれた軟膏もよく使われています。
ステロイドによる副作用を心配される患者さんもいますが、患者さんの症状にあったものが使用されますので、医師が処方した用法・用量をきちんと守れば、心配することはありません。
また、抗ヒスタミン薬などの内服薬は、かゆみを軽減させる効果があります。
アレルギーの抑制
アレルギー反応を抑制するためには、皮膚の湿疹を引き起こしている原因物質=アレルゲンを突き止める必要があります。
検査や問診によりアレルゲンが特定された場合は、その物質を避けた生活を送るようにします。
アトピー性皮膚炎のアレルゲンの多くは、イエダニやハウスダストだといわれています。
皮膚の保護
乾燥した皮膚は、外部からの刺激に非常に弱くなっています。
皮膚が乾燥しないように、保湿クリームなどを用いて毎日こまめにスキンケアを行います。
また、できるだけ皮膚の刺激になるものを避けることも必要です。
当院でのアトピー性皮膚炎の治療法
当院では新宿区内の皮膚科でも医師の常勤が5名と医師数が多く当院にご来院された患者様をお待たせしない体制を取っております。また、女性の患者様のためにも当院では女性の皮膚科医もおり女性の方にもご来院をしていただきやすい環境を整えております。
当院の院長である蓮池林太郎医師は日本皮膚学会にも所属をしており、日々最新の治療を学びアトピー性皮膚炎含めた皮膚病患者様のために精進しております。
新宿西口から徒歩1分と駅からも近く、予約なしでも夜も19時までにご来院いただければ診察を致しますのでお仕事終わりなどでも通えるようにしております。
新宿や西新宿の皮膚科として多くの患者様の悩みを解決し通いやすいクリニックを目指していきますので、今後とも何卒宜しくお願い致します。
アトピーの治療薬
アトピーの治療薬は外用薬と内服薬の2種類あります。
外用薬にはステロイド外用薬や免疫抑制外用薬、保湿薬などがあります。
ステロイドや免疫抑制剤は炎症を起こすプロセスに作用します。
免疫機能が外的な刺激に対して放出するサインとして放出する物質がありますが、これらを阻害して炎症症状を起こさせないような働きをします。
苦痛な症状を一過性に抑えるのに効果が大きいステロイドですが、使用上、途中で量を大幅に変更したり、中止したりすることで症状が悪化する場合があります。
医師の指示に従い適切な方法で使用するよう心がけましょう。
保湿薬では、アトピー患者様特有に見られるドライスキンに対応し、セラミドの補充や水分の蒸発を予防します。
内服薬には痒みの症状を抑える抗ヒスタミンや抗アレルギー薬を、症状がひどい場合はステロイド薬を使用します。
アトピーの予防
患者様によりどんな物質に対して過敏に反応するかは異なりますが、自己の体質を理解している方は、そういったアレルゲンとなる物質を避けることが一番重要です。
ダニやほこり、カビなどの対策としては毎日室内の掃除を行うことが効果的です。
寝具やカーテンなどの交換もこまめに行う方が良いでしょう。
ほこりのたまりやすい家具の上やエアコンの上のホコリなども刺激物となります。
また患者様全般に見られるドライスキンに対する保湿ケアも欠かせない予防策になります。
アトピーの方の皮膚は通常の酸性に対してアルカリ性になりやすいことがわかっています。
アルカリ性になると細菌が増殖しやすく、その際に放つ毒素が原因となることもあるため、適度な清潔の保持も欠かさないことです。
他には自己免疫力を高め、外敵からの抵抗力をつけることも大切です。
アトピーは物質的な刺激ばかりではありませんので、ストレスや寝不足は避けるようにし、日々の生活習慣を整えることも免疫力の向上につながります。
気をつけたい悪化要因
これらは皮膚を刺激し、湿疹を悪化させることがあります。
・夏の高温多湿・・・汗をかきやすくなるため
・冬の乾燥
・紫外線
・大気汚染
・プール・海・・・塩素や塩分が刺激になる
・医薬品
・シャンプー
・リンス
・入浴剤
・洗剤
・塗料
・イエダニ
・ホコリ
・ゴキブリ など